大成建設が挑む建設DXの最前線—建設承認メタバース(C2Quest)で変わる承認プロセス【動画あり】

はじめに:建設DXを加速させる「the World We Work.」の衝撃

大成建設株式会社が開発した「建設承認メタバース(C2Quest)」は、建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を象徴する革新的なソリューションです。同社のyoutubeプロモーションビデオ「【大成建設】建設承認メタバースのある世界「the World We Work.」」は、このメタバースが実現する未来の業務スタイルを具体的に提示しています。


【大成建設】建設承認メタバースのある世界「the World We Work.」(youtube/大成建設公式チャンネル)

従来の建設プロジェクトにおいては、図面や模型を用いた確認作業、関係者間での合意形成に多大な時間と労力が費やされてきました。特に、発注者や設計変更に関する承認プロセスは、紙ベースの資料やアナログな手法に依存する部分が多く、手戻りや工程の遅延の要因となっていました。

C2Questは、この長年の課題に対し、BIM(Building Information Modeling)データを活用したデジタルツインとメタバース技術を融合させることで、抜本的な解決策を提示しています。本記事では、日本DX大賞2025の奨励賞を受賞するなど、高い評価を得ているC2Questの機能と、それが建設業界にもたらす本質的な価値について、客観的に深掘りします。


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「C2Quest」とは?建設承認メタバースの基本概念

C2Quest(Construction Approval Metaverse)は、建物のBIMモデルを軽量なメタバースデータに変換し、リアルな3次元仮想空間をアバターで自由に探索できるデジタルツインシステムです。このシステムの核心は、「承認」という建設プロセスにおける重要かつ煩雑な業務を、仮想空間上で一元管理し、効率化することにあります。

このプラットフォームは、単なる3Dビューアに留まりません。社内の各種システムやAPIと連携し、必要な図面、仕様書、過去の対応事例といったプロジェクト情報を3Dモデルと紐づけて一元管理しています。これにより、関係者全員が「完成後のイメージ」を仮想空間で共有しながら、設計や仕様の確認、変更依頼に対する承認プロセスを迅速に進めることが可能となります。

特に注目すべきは、システムの名称にも含まれる「Quest」が示すように、承認プロセスにゲーミフィケーション要素を取り入れている点です。「ミッション」として課題が提示され、承認完了を「ログポイント」として記録・可視化することで、関係者のモチベーションを維持し、業務を円滑に推進する設計思想が組み込まれています。

革新的な機能1:承認プロセスと意思決定の迅速化

C2Questは、意思決定の迅速化に直結する複数の革新的な機能を備えています。

一つ目は、「その場での仮想体験と検証」機能です。従来の二次元図面では難しかった空間の広がりや利用者目線での体験を、メタバース内で瞬時に実現します。例えば、動画内では、通路幅が車椅子でも問題ないかを、専用のアバターに切り替えて検証する様子が確認できます。このようなリアルな仮想体験は、発注者やエンドユーザーの視点を取り入れた質の高い合意形成を、設計の初期段階で可能にします。

二つ目は、「情報と記録の自動化・一元管理」です。C2Questでは、仮想空間内で行われた検討や承認の経緯が、生成AIによって自動で議事録として整理・記録されます。これにより、会議後の文字起こしや資料整理といったアナログで時間のかかる作業が大幅に削減されます。また、確定した承認情報と日時がBIMモデルの各部分に紐づけられて記録されるため、情報共有の明確化とトレーサビリティの確保が実現され、手戻りのリスクを低減します。

これらの機能は、紙の図面を広げたり、模型を動かしたりといった従来の手間をなくし、承認を「感動するぐらいスムーズに」行うという体験価値を、関係者全員に提供しています。

革新的な機能2:AIとベテランの知恵の融合

建設業界のDXにおいて最も難しい課題の一つが、ベテラン技術者が持つ属人的な「経験値」の継承です。C2Questは、この課題に対してAI技術を活用し、組織の知恵を形式知化することで応えています。

動画では、発注者の要求水準に関する疑問が生じた際、システムが「同じ発注者の過去の事例」を瞬時に検索し、提示する場面が描かれています。さらに、その類似案件を担当していた過去の担当者を自動で抽出し、リモートで参加を促す機能も紹介されています。

これにより、専門的な知見が必要な場面で、現在時短勤務中のベテラン社員にもアバターで参加してもらい、過去の経験に基づいた適切なアドバイスを短時間で得ることが可能となっています。

システムがベテランの貢献に対して「お礼ポイントを付与する要素は、先に述べたゲーミフィケーションの一環であり、経験豊富な社員が積極的に知識を共有し、協力するモチベーションを高める役割を果たしています。C2Questは、世代や場所に依存しない形で、組織全体の知識と経験を融合させ、建設プロジェクトの最適解を導き出すためのプラットフォームとして機能していると言えます。

建設ライフサイクル全体への適用:設計から維持管理まで

C2Questの有用性は、設計や承認といった建設前のプロセスに限定されません。このシステムは、建物のライフサイクル全体にわたって価値を発揮することが期待されています。

動画の終盤では、建物竣工後に、C2Questが維持管理フェーズで活用される様子が示されています。メタバース空間内で特定の設備(例:自動扉)を選択すると、即座にその取扱説明書や点検登録画面にアクセスできる機能は、従来の紙ベースの管理体制からの大きな脱却を意味します。

デジタルツインとして構築された仮想空間が、竣工後の建物の「取扱説明書」や「管理台帳」そのものとなることで、メンテナンスや修繕計画の策定が格段に容易になります。これにより、長期的な建物の価値維持と、管理業務の効率化が実現します。

さらに、C2QuestがWebからアクセス可能で、データが軽量化されている点も、建設現場や維持管理現場での普及を後押しする重要な要因です。特別な高性能デバイスを必要とせず、多様な環境で利用できることは、システム導入の敷居を下げる上で極めて合理的であると評価できます。

建設業界にもたらす価値と将来性

大成建設は、C2Questの導入により、以下の具体的な効果を追求していると公表しています。

  1. 施工管理の効率化
  2. 発注者との合意形成の高度化
  3. 社員の業務負担の低減化
  4. 早期空間理解

これらは、建設業界が長年抱えてきた「生産性の向上」「働き方改革」「人手不足への対応」といった喫緊の課題に直接的に応えるものです。特に、発注者との認識の相違をなくし、早期に合意形成を図ることは、手戻りによるコストや工期の増加を防ぐ上で極めて重要です。

C2Questは、その革新性が認められ、日本DX大賞2025の奨励賞に加え、AIxRクリエイティブアワードの優秀賞も受賞しています。これは、単なる業務効率化ツールではなく、ゲーム開発の知見を取り入れた「異世界転生感」のあるユーザー体験を提供することで、建設業の働く楽しさや未来像そのものを変革しようとする、同社の積極的な姿勢の表れと言えるでしょう。

まとめ:建設業の未来を切り拓くデジタルイノベーション

大成建設の「建設承認メタバース(C2Quest)」は、BIM、メタバース、AI、そしてゲーミフィケーションという最先端の技術と概念を統合し、建設承認という業務を単なる手続きから「クエスト」へと昇華させました。

このシステムは、紙の図面に固執してきた建設業界の慣習を打破し、デジタルネイティブ世代がワクワクしながら仕事に取り組めるような、新しい業務環境を創造しています。ベテランの経験値がデジタルプラットフォーム上で組織資産として活用される仕組みは、知識継承の観点からも極めて意義深いです。

C2Questが示す「the World We Work.」は、建設業が「地図に残る仕事」としての誇りを持ちつつも、デジタルイノベーションを通じて、よりスマートで、より速く、そして誰もが働きがいを感じられる産業へと進化する未来を鮮明に描き出していると言えます。今後、本システムが適用されるプロジェクト数が増えるにつれて、その効果と影響は建設業界全体に波及していくことが予想されます。

 
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参考記事(外部リンク)

次世代の業務スタイルへの変革を推進する「建設承認メタバース™」の開発に着手 _ 株式会社日立コンサルティングのプレスリリース
「建設承認メタバース(C2Quest)」が日本DX大賞2025奨励賞を受賞 _ 大成建設株式会社
「建設承認メタバース(C2Quest)」がAIxRクリエイティブアワード優秀賞を受賞 _ 大成建設株式会社

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