新作『機動警察パトレイバー EZY』の始動を控え、改めて注目が集まるパトレイバー・シリーズ。その世界観の解像度を決定づけたのが、2015年公開の実写映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』です。
今回は、2026年5月に『機動警察パトレイバー EZY』が公開される今だからこそということで、実写映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』のロケ地を再訪してみました。運営人(くふらて)がこれまで実際に現地を歩いて収めた写真とともに、建築と坂道の視点を交えて紹介したいと思います。
とはいえ、「映画を観る時間がない」という方でも楽しめるよう、この記事ではYouTubeで公開されている予告編に登場するスポットに絞ってピックアップしてみました。
1. 押井守監督が描いた「実写パトレイバー」の集大成
本作は、アニメ史に残る名作『機動警察パトレイバー2 the Movie』のその後を描いた完結編です。現実の2015年の東京を舞台に、ステルス戦闘ヘリ「グレイゴースト」による首都占拠テロが描かれます。
最大の見どころは、全長8メートルの実物大98式AVイングラムが最新兵器に立ち向かうリアリティ。ネット時代の「見えない敵」というテーマは、今の時代にこそ響くものがあるかもですね。
映画について軽くふれたことで、次は『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』の予告編の動画もどうぞ。
映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』予告編(youtube/シネマトゥデイ)
この映画は、2015年5月の公開前から、アニメの実写は賛否分かれるパタンが多く心配な点もありましたが、押井守監督が関わっているということで、早々と劇場に足を運んだことを覚えていますよ。
2. 「象徴」としての破壊:東京都庁(新宿区)
予告編の[0:58]や[01:06]で、グレイゴーストの猛攻を受けるのが東京都庁です。
映像では、戦闘ヘリ「グレイゴースト」が派手に攻撃している様子が描かれていますね。
この写真は、偶然都庁上空を飛行機が通過した瞬間にシャッターを切ったものです。「もしこれがグレイゴーストだったら……」という空想が脳裏をよぎりました。(写真2)
そんなことをなんとなく思いながら撮った写真ということで、余談がてら載せてみました。
ちなみに、建築的視点で見れば、都庁はポストモダン建築の代表格です。ノートルダム大聖堂を彷彿とさせる双塔形式は、世界的建築家の丹下健三氏が代表の丹下健三・都市・建築設計研究所による設計です。圧倒的な権威性と幾何学的な美しさを持つこの場所が「破壊されるシンボル」に選ばれたのは、必然だったのかもしれませんね。
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3. 潜伏するステルス:中野坂上の「中野坂」(中野区)
予告編[01:02]あたり、ビル群を低空で擦り抜けるヘリのシーン。特定が難しかった場所ですが、ついに見つけました。
場所は中野坂上駅すぐ、青梅街道沿いです。(写真3)
またここは歴史ある坂道でもあり「中野坂」とも呼ばれていて、運営人(くふらて)は、坂道にも詳しいので(別名義で活動しています)、なんか見たことあるなあと思ったら、ビンゴ!というわけでした。(^^)
ここは都庁から南西に約800mの場所です。劇中では新宿を襲撃後、この至近距離でステルス機能を維持しながら離脱したという設定が推測されますね。
そして、道路から見える西新宿の高層ビル群が、逃走ルートのリアルさを物語っていますようにも思えます。
※「中野坂」については、またそのうち姉妹サイト(東京坂道さんぽ)で取り上げると思いますので、あしからず。
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4. 破壊された海上の要所:レインボーブリッジ(港区)
次は、劇中で何度も出てきた橋についてです。
動画では、[0:42] や[0:54]、[01:15] あたりで登場していますね。
ここはわかりやすいですが、お台場のレインボーブリッジですね。
レインボーブリッジは、東京都港区の芝浦とお台場を結ぶ全長798mの吊り橋です。この映画以外でもロケ地として使われることが多いので知っている方も多いと思います。
建築的にいえば、上下2層の複雑な構造で、上層は首都高速、下層は一般道、遊歩道、ゆりかもめが走る交通の要所です。夜間のライトアップが美しく、東京湾のシンボルとなっていますよね。
動画の[01:15] あたりで破壊後の橋の映像も流れてましたけど、このあたりのようです。。(写真5)
お台場側からなら、ちょうど遠くに東京タワーが見えていたりします。
昨年、レインボーブリッジを渡ったときに撮ったものです。(写真6)
ちょうど写真6左側あたりが、写真5で見えていた場所ですね。
もし映画のように破壊されたときに”この場にいたら・・・”、なんてことも実は写真撮りながら脳裏に浮かんでいましたよ。(^^)
それはさておき、橋からのお台場界隈の海の景色は最高なので、ロケ地巡りがてら歩くのもいいかもしれないですね。
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5.権威と格差の象徴:警視庁本部庁舎(千代田区)
動画の最後のほう [01:26]あたりにでてきた、これまたミサイル攻撃を受ける建物ですけどこちらは、警視庁本部庁舎ですね。
千代田区にある皇居外苑の門の一つである桜田門のそばにある実存する建物です。(写真7)
写真7でいえば、すこしわかりにくいですけど、中央奥の電波塔のようなものが上部にある白い建物です。
建築的に観ると、規模と内容において世界ーの警察庁舎であり、警察の威信をかけた要塞のような堅牢なデザインが特徴です。設計は岡田新一設計事務所。
パトレイバー的文脈でいえば、特車二課の「プレハブ(埋立地)」と、この「霞が関の本庁」という、建築の格差が組織の力関係を象徴しているように思えましたね。そして、その「本丸」が狙われるシーンには、強い衝撃を受けました。
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技術が支えた「東京のリアリティ」
最後に、なぜこの映画のロケ地がこれほどまでにリアルに感じられるのか、その理由を裏付ける興味深いエピソードをひとつ。
実はこの記事を書くために改めて調べていて驚いた(というか、正直震えた)のですが、本作の圧倒的なリアリティの裏側には、ソニーの最先端技術が深く関わっていたんです。
本作はソニーのプロフェッショナルカメラ「PMW-F55」をメインに据え、邦画史上初となる「全編4K」で制作・劇場公開された記念碑的な作品でもあったようです。
都庁の複雑なディテールや警視庁の堅牢な外壁が、今回再訪して撮った実景の写真のように鮮明に感じられるのは、まさに高精細な「4K RAW収録」の賜物と言えるでしょうね。また、ステルスヘリが街の風景に違和感なく溶け込むあの見事なVFXも、リニアワークフローという高度な色管理技術によって実現されているそうです。
「実在の東京」と、劇中の「虚構の東京」が地続きに見えたのは、当時の制作チームが挑んだ最新技術の解像度があったからこそといえるのかも。撮影現場のフットワークを重視して軽量なF55を選んだという制作秘話を知ると、ロケ地巡りの視点もまた少し変わって面白いですね。
※機材や技術的なワークフローに興味がある方は、ソニー公式サイトに当時の制作チームのインタビューが詳しく掲載されています。(参照記事リンクは最後にあります)
まとめ
2026年、新作『EZY』の足音が聞こえる今、あえて実写版が描いた「リアリティのある東京」を整理したことで、作品の予言的な面白さを再発見できましたね。
皆さんもイングラムの足跡を探して、建築や坂道の視点から東京でのロケ地(聖地)を再発見してみるとおもしろいかもしれないですよ。
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